積算作業における経験とスキル

内装材の積算には経験が必要だ。少なくとも平面図、立面図、仕上げ表、建具表などの建築図面を読み取る能力が必要不可欠である。「建築の電卓」を使用する前の当社でも、積算業務を一人前にこなすようになるのに、最低半年の時間を要した。

手計算による内装材の積算業務をできるということは「スキル」だと思う。そして経験がないと、内装の知識がないとできない作業であった。

しかし、「建築の電卓」は積算業務のスキルや経験を必要としない単純作業へと変えた。

「線をなぞる」「扉を置く」「元図面に沿って材料を置く」など、すべて単純作業で積算できるようになる。

手作業の積算では、人のやった積算作業の引継ぎは困難であった。積算プロセスが数式として残っていたとしてもそれを追いかけることが難しく、どこまでやったかという作業量の把握は大変難しい。

しかし、このソフトを使用すると途中までやった作業を引き継ぐことができ、どこまでやったのかが一目でわかる。新人が途中までやった積算をベテラン社員が仕上げるなんて言うことも可能にした。

作業時間と正確性については言うまでもない。作業時間については手作業の1/5以下を実現(当社調査による)。

手作業で起こる「足し忘れ、引き忘れ」はもちろんのこと「一桁間違えた、計算ミス」というようなこともない。

もう一つ「建築の電卓」は情報の整理においても優秀だ。

手計算の積算では、図面の周りに手書きで数字が書き込まれ、その計算式で埋め尽くされ、どの情報がどこにあるのか分かりにくかった。一歩進んで計算をエクセル上でやったとしても、整理して見せようとすればするほど、作りこみに時間がかかる。まして品番ごとに、フロアごとに材料の整理をしようとすると、これもまた頭がパンクしそうになる。

 「建築の電卓」では、プロジェクトごと、フロアごと、天井や床などの貼り付け場所ごと、品番ごとなど、情報が整理して並び替えられる。

各担当者はそのファイルを開き、自分の欲しい情報だけをピックアップすることができる。機能のもっと細かい部分いついては、また別のコラムで述べたいと思う。

そもそもこの労働力不足が騒がれる昨今、採用さえ困難なのに教育や従業員育成にどれだけの企業が時間と労力を注げるであろうか。だとしたら積算業務にスキルや経験を求めるのではなく、機会的な作業で誰でも簡単に、正確な数値を導き出すということにアプローチすることが重要だと思う。