建築の電卓 誕生秘話 その①

「建築の電卓」は、株式会社エス・ビルドというオフィスの内装工事を手掛ける会社が作った積算ソフトです。
そして私は、同社の代表をしております澤口です。
今回「建築の電卓」の誕生秘話について3回にわたってお話ししたいと思います。

きっかけ

2016年頃だったと思います。積算業務の在り方に疑問を持つようになりました。
それまで積算作業は図面を出力し、コピー機へ行って縮尺を1/100に出力しなおし、三角スケールと電卓、蛍光ペンを駆使し、数時間をかけて手作業でやることが常識なんだと思っていました。
そして、積算が終わった後に数字に違和感を感じたときにやり直すあのむなしさ…

これだけデジタル化が進むなか、積算作業はどうしてこんなにもアナログなのだろうと。

他に同じ悩みを持つ会社が多いはずだ。
きっと自分が知らないだけで、世の中には便利な積算ソフトがあるだろうと思いました。

積算ソフトの現状

まず、そういうソフトがあるのかリサーチを始めました。

手っ取り早くインターネットで調べてみました。
「積算 内装」「積算ソフト 内装工事」「内装用積算ソフト ランキング」など…
いろいろな検索ワードを打ち込みました。ヒットはするけど、住居の建築用であったり、土木工事用であったり、正直よくわからなかったです。

分からなければ聞いてみようということで、内装資材の商社さんに聞いてみました。
すぐにソフトを紹介してくれました。後にソフトの競合先を調べましたが、積算ソフトには「〇〇くん」という名称のソフトが多かったです。
価格は120万円くらい。ソフトウェアは使ってみないと、見聞きだけではわからないんですよね。
業務改善になればと思い、デモだけ見させてもらって、即日購入してみました。

事務スタッフに渡し使用感を聞くと同時に、代表者でもあり「建築の電卓」の開発者でもある私自身も使ってみました。

使用感はというと…。
細かい理由は書きませんが、不便を感じることが多々あり使いにくいような。
事務スタッフも同じ意見でした。
操作性にストレスを感じ、分かりにくく、こういう時はどうやるんですか?とコールセンターに問い合わせてみたことに対しても、それはできないんですよと返ってきます。

それから半年後、購入したソフトを使うことをやめました。
一向にかわらないアナログな積算作業に、増えていく残業時間。

世間では働き方改革と言っているのに寧ろ業務時間が伸びていく。

そこで、ほしいソフトがないなら”自分たちに合う積算ソフト作ろう!”と本気で思いました。

いざ開発へ

まずはパートナー探しから始めました。
SEもいない一内装工事会社に単独でのソフト開発などできるはずもなく、知り合いのシステムに詳しい方々に相談していきましたが、なかなかな高いハードルを感じました。

そんな中ようやくたどり着き、賛同してくれたC社と共同で開発することにしました。
やりたいことのラフ図を私が描き、ソフトの常識的な動きや計算式、構成などは、C社からアドバイスをもらいながら開発を進めました。

こうして「建築の電卓」の開発はスタートしました。


誕生秘話②へつづく